ナフサ不足が、化学業界や建設業界を中心に大きな問題として注目されている。
本記事では、ナフサとは何か?という基礎から、供給不足の原因、ガソリンとの関係、サプライチェーンへの影響までを、石油業界の実務視点を交えてわかりやすく解説する。
そもそもナフサとは?

ナフサとは、原油を精製して作られる石油製品の一種。
無色~淡黄色のサラサラした液体で、揮発性があり引火しやすいのが特徴だ。
また、ガソリンに近い性質を持つ軽質油であり、石油化学産業の基礎原料として広く使用されている。
- プラスチック
- 合成ゴム
- 合成繊維
- 洗剤
- 塗料
- インク溶剤
- 建設資材
- 包装フィルムなど
ナフサは現代産業の基盤を支える原料のひとつ。
普段は一般消費者が直接目にする機会は少ないものの、生活インフラや物流、製造業を支える重要な存在といえる。
パッケージが白黒に…、なぜナフサ不足が起きているのか?

ポテトチップスのパッケージが原料のナフサ不足で、白黒になるとのニュースは直近で大きく報じられている。
では、なぜナフサが不足するのか、理由は以下の3つだ。
- ホルムズ海峡の情勢が影響している
- ガソリン優先の精製構造がある
- ナフサ輸入への依存度が高い
それぞれ見ていこう。
1:ホルムズ海峡の情勢が影響している
1つめは、ホルムズ海峡の影響だ。
中東産原油やナフサの多くは、ホルムズ海峡を通過して日本へ輸送される。
この海峡で軍事的緊張や通航障害が発生すると、タンカー輸送や保険コストに影響が及び、ナフサ供給が不安定化しやすい。
実際に近年、中東情勢の悪化によってアジア向けナフサ価格や石油化学製品価格が高騰している。

2:ガソリン優先の精製構造がある
2つめは、ガソリンを優先した需要や設備投資にある。
原油を蒸留すると、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油などが一定割合で生産される。石油製品は完全に自由な比率で作れるわけではなく、連産品として生産される特徴を持つ。
日本では自動車燃料需要が大きいため、製油所では重油を分解してガソリンを増産する設備が発達してきた。
一方で、ナフサは石油化学向け需要が大きいにもかかわらず、国内供給だけでは不足しやすい構造にある。
その結果、ナフサは輸入依存度が高く、供給障害の影響を受けやすいとされている。
3:ナフサ輸入への依存度が高い
最後は、ナフサは輸入への依存度がかなり高い点だ。
日本では石油化学向けナフサ需要の多くを輸入で補っている。
2024年度には供給量の64%を輸入に依存しており、輸入先はUAE、カタル、サウジアラビアなど中東地域へ偏っている。
特に輸入ナフサの中東依存度は高く、石油化学工業協会の統計では、2024年の輸入ナフサに占める中東比率は73.6%に達しているともいわれている。
今後、ナフサ不足に求められる対応とは

ナフサ問題は単なる原料不足ではなく、サプライチェーン全体の最適化問題ともいえる。
特に重要なのは以下の3つ。
- 原料調達先の分散
- 在庫戦略の見直し
- エネルギー消費構造の改善
まずは、中東依存リスクを軽減するため、調達地域の多様化が必要だろう。
そして、必要な用途の原料を適正在庫として持つ考え方が重要になる。
また、ガソリン消費を抑え、工業原料へ資源を回す議論も進んでいる。これは単なる節約ではなく、産業維持の観点からも重要なポイントだ。

“エネルギー問題”ではなく“産業問題”

ホルムズ海峡リスクは、ガソリン価格だけの問題ではない。
日本では、石油化学産業が多くの製造業を支えており、ナフサ不足は樹脂、包装、電子材料、自動車部品など幅広い分野へ影響を与える。
つまり、ナフサ問題は「燃料不足」ではなく、日本の産業供給網全体に関わる構造的リスクとして捉える必要があるだろう。
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