船舶の動力源として、国内ではヤンマーや三菱重工などのディーゼルエンジンが使われている。
こうしたエンジンを長く安定して稼働させるには、使用するエンジンオイルの性能も重要だ。
本記事では、船舶用ディーゼルエンジンに適したオイルの選び方を解説。
純正オイル以外の選択肢として、漁船用に開発された「ENEOS マリン Fシリーズ」の特徴や性能についても紹介する。
船舶用ディーゼルエンジンの種類

船舶用のディーゼルエンジンは、主に軽油、A重油、B重油(※)、C重油がある。
| 燃料 | 主な特徴 |
|---|---|
| 軽油 | 粘度が低く、小型ディーゼルエンジンなどに使用される。 |
| A重油 | 軽油より粘度が高く、小型船舶から内航船まで使用される。 |
| B重油 | A重油とC重油の中間的な性状を持つ。 |
| C重油 | 粘度が高く、主に大型のディーゼルエンジンなどに使用される。 |
ただし、B重油はかつて内航船で比較的よく使われていたものの、2015年度には使用量が大きく減少。
現在では、B重油の使用比率は約0.37%ほどにとどまっている。
※政府の統計ではB重油も船舶用燃料として分類されているため記載
参照:内航海運業界の現状 第1回燃料油環境規制対応連絡調整会議資料|日本内航海運組合総連合会
そして、船舶用ディーゼルエンジンにおいて、最も重要となるのが「塩基価(過塩素酸法)」だ。
船舶用ディーゼルエンジンにおける「塩基価(過塩素酸法)」とは

塩基価(えんきか)とは、エンジンオイルが酸を中和する能力を示す数値のこと。
船舶用ディーゼルエンジンでは、燃料の燃焼によって生じる酸からエンジン内部を保護するため、重要なオイルの性能指標となる。
塩基価の単位
塩基価は、一般に「mg KOH/g」という単位で表される。読み方は、「ミリグラム ケーオーエイチ パー グラム」。
これは、オイル1gが中和できる酸の量を、水酸化カリウム(KOH)の質量に換算した数値。
たとえば、塩基価が40mg KOH/gのオイルは、オイル1g当たり、水酸化カリウム40mg相当の中和能力を持つことを意味する。
なお、塩基価はオイルの中和能力を比較するための指標であり、実際に水酸化カリウムがその量だけ含まれているという意味ではないため、注意しよう。
船舶用ディーゼルエンジンオイル「ENEOS マリン Fシリーズ」
マリンFシリーズは、高出力化する漁船用ディーゼルエンジンの使用条件を考慮して開発された漁船専用オイル。ラインナップは、10W-30、15W-40、30、40の4種類だ。
特徴は以下のとおり。
- 熱・酸化に対する安定性が高い
- 清浄分散性によってエンジントラブルを防止
- 寒冷地での始動性
- 湿式クラッチにも使用可能
- 比較的高い塩基価である
- API CF級相当
なかでも、10W-30と15W-40はマルチグレードオイルのため、寒冷地でも容易に起動可能な性能を発揮できる。また、救命艇用ディーゼルエンジン油としても適すると公式記載も。

そして、重要なポイントが、比較的高い12.8~14.8 mg KOH/gの塩基価(過塩素酸法)だ。
目安として、A重油では塩基価が10mg KOH/g以上必要なケースが多く、いずれのランナップも値を満たしている。
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