【4週連続値上がり】ガソリン価格高騰はいつまで?出光や三菱ケミカルなど、各企業で製造停止・縮小が相次ぐ

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2026年2月、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに、中東情勢は急速に緊張を高めている。イランは報復としてミサイルやドローン攻撃を行い、地域全体に軍事衝突が拡大中だ。

特に、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行が大きく制限され、世界のエネルギー市場が混乱状態に入った。実際、原油価格は急騰し、世界経済への影響が懸念されている。

目次

日本のガソリン価格高騰はいつまで続く?今後の見通し

現状、日本のガソリン価格は上昇し続けている。

  • 全国平均:約169円/L(2026年3月12日時点)
  • 前週より +3.3円上昇、4週連続の値上がり

ENEOSなどは約26円の値上げを実施予定。店頭価格は170円〜180円台に近づく可能性も指摘されている

なお、世界の原油価格も1バレル100ドルを超える水準に上昇。エネルギー市場では「過去最大級の供給ショック」との指摘もあり、燃料価格の上昇が各国で確認されている。

日本国内でも、ガソリンスタンドに車が殺到し、長い給油待ちの列が各地で見られる状況だ。専門家見通しでは、少なくとも数週間〜数か月は影響が続く可能性が高いとされている。

国家備蓄解放って?メリット・デメリット

日本政府は、エネルギー供給の安定化のため、約45日分の備蓄を市場に放出する措置を決定した。

  • メリット:急激な価格高騰を抑え、ガソリンや燃料の供給不安を緩和できる
  • デメリット:備蓄補充には高い原油価格で買い戻す必要があるので、国家コストの増加が問題

日本は世界有数の石油備蓄量を持ち、国家備蓄と民間備蓄を合わせると200日以上の在庫を持つとされる。今回の放出は、価格急騰の抑制と供給不安の緩和を目的とするものだ。

ただし備蓄放出はあくまで短期対策であり、ホルムズ海峡の混乱が長期化すれば、価格上昇を完全に抑えることは難しいだろう。

ホルムズ封鎖と供給停止で起こっている国際的な問題

今回の中東危機では、石油化学やエネルギー産業で次のような動きが報告されている。

出光がエチレン製造停止の可能性を取引先に通知

出光興産は、ホルムズ海峡の封鎖が長期化した場合、日本国内のエチレン製造を停止する可能性があると取引先に通知した。原料となるナフサの供給が滞る可能性があるためである。

エチレンはプラスチックや化学製品の基礎原料であり、供給が止まれば自動車、電子機器、包装材など幅広い産業に影響が広がる。

出光興産は、西日本にある徳山工場に年間62万3000トンのナフサ分解装置を、東日本にある千葉工場に年間37万4000トンのナフサ分解装置を保有している。

参照:Japan’s Mitsubishi Chemical slows ethylene production|argusmedia

三菱ケミカルが一部プラントの生産を縮小

三菱ケミカルは2026年3月、中東情勢の悪化とホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、茨城事業所(茨城県神栖市)でエチレンの減産を開始した。

三菱ケミカル茨城事業所 画像:nippon.com

原料であるナフサの調達量が減少する可能性が高まったためで、同社は設備の稼働率を引き下げて対応している。

エチレンはプラスチックや化学製品の基礎原料であるため、供給状況によっては関連産業への影響拡大も懸念されている。

シンガポールの石油化学企業が原料不足によりフォースマジュールを宣言

シンガポールの石油化学企業では、中東情勢の悪化による原料不足を受け、供給契約の履行を一時的に免除する「フォースマジュール(不可抗力)」を宣言する動きが広がっている。

フォースマジュール(不可抗力)とは、どうしても避けられない事情なので契約どおりにできませんと宣言すること

ジュロン島の石油化学拠点では、ナフサなど中東由来の原料供給が滞り、エチレンなど基礎化学品の生産に影響が出ている。これを受けて複数企業が稼働率を引き下げ、顧客向け製品の供給についてフォースマジュールを通知した。

アジアにおける海上輸送によるナフサ輸入量の60%以上は中東から調達されている。

市場関係者によると、アジアの生産者のほとんどはナフサの貯蔵タンクが限られており、在庫はあと2~3週間分程度しか残っていないと推定されている。

参照:INSIGHT: Asia petrochemical output shrinks on feedstock supply woes|icis

実は”親日国”だった?イランと日本の歴史

モハンマド・レザー・パフラヴィー氏が統治するパフラヴィー朝(王政国家)の時代、日本とイランは比較的良好な関係を築いていた。

特に1970年代は、日本が急速な経済成長を遂げる中で、中東の原油供給国としてイランとの結びつきが強く、良好な関係性が築かれていた。

また、日本とイランの交流自体はとても古く、1930年代には正式な外交関係が成立している。

特に、1979年のイラン革命後も日本は関係を完全には断っておらず、欧米諸国に比べると比較的穏やかな外交関係を維持。ほかにも、1980年代のイラン・イラク戦争の際にも、日本は中立的な立場を取りながらエネルギー関係を維持している。

しかし、現在の日本とイランの関係は、外交関係は維持しているが、経済関係は大きく縮小している状態だ。

まとめ

2026年の米国とイランの軍事衝突は、単なる地域紛争にとどまらず、世界のエネルギー供給に大きな影響を与えている。

ホルムズ海峡は世界の原油輸送の約20%が通過する重要な海上ルートであり、その混乱は原油価格の急騰を招いた。日本は原油の大半を中東に依存しているため、ガソリン価格や石油化学産業に直接的な影響が出ている。

政府は石油備蓄の放出などの対策を進めているが、供給不安が長期化すれば価格上昇や産業への影響がさらに広がる可能性があるだろう。

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